福島県楢葉町の宝鏡寺の住職で、半世紀にわたり反原発運動を続けた早川篤雄さんが29日、83歳で亡くなった。東京電力を相手に2012年に提訴した「福島原発避難者訴訟」では原告団長を務め、3月に勝訴が確定。東電に社長名で公式謝罪する場をつくらせた。
早川さんは9日に肺炎でいわき市の病院に救急車で運ばれた。遺族の話では、容体は安定していたが、29日に急変したという。
早川さんと長年、反原発運動に携わった同市の伊東達也さん(81)は、11日に早川さんから電話で入院の知らせを受けた。
早川さんは、国と東電を相手にした「いわき市民訴訟」の仙台高裁判決(来年3月)を気にかけ、病室に裁判資料を持ち込んでいたという。伊東さんは「体力は衰えていたが、市民訴訟を応援しようと懸命だった。判決を前に無念だったと思う」と話した。
避難者訴訟原告団の事務局長、金井直子さん(57)は「裁判の仕方など何も知らない住民が10年間も闘い続けてこられたのは、早川さんの信念の強さと人間的な優しさがあったからだと思う」と振り返った。
通夜は1月6日、葬儀は7日、いずれも宝鏡寺で。(編集委員・大月規義)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル